生きテク No.68

黒い魂が胸の奥にあるようで、苦しかった。
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■生きテク提供者
名前: 桜井凛香さん
性別: 女性
職業: 主婦
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■最も自分に過酷だった状況
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26歳のころ、コピーライターをしていた。
仕事は好きだったが、非常にハードで、帰りが深夜に及ぶことも多かった。

あるとき、めまい、吐き気に襲われるようになり、
それまで難なくバリバリこなしていた仕事が、
できなくなってしまった。

上司が先にうつ病になり、その分の仕事の負担が増えたこともあり、厳しい状況だった。


■どんなふうに苦しかったか?
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電車で通勤していたが、ホームに立っていると、
このまま飛び込んだら楽に死ねるのに
と無意識のうちに考えてしまっていて、
思わず電車に飛び込みたい衝動にかられてしまう。
電車に乗るのが怖くなってしまい、バス通勤に変えた。

仕事をしていても、パソコンの画面がぐわんぐわんと、
近づいたり遠のいたりするような症状に見舞われた。

家に帰りつくと、
荷物を置いてへたりこみ、そのまま2時間動けないこともあった。

過食症にもなった。

精神科を受診すると、うつ病だと診断された。

そのことを会社ではまわりの人に言えずにいて、
隠して必死にがんばっていた。
だが上司からは「怠けている」と言われた。

胸が息苦しくなり、黒い塊が胸の奥にあるような状態で、
起き上がることすら辛かった。

状態はどんどん悪化し、
仕事帰りにバスの中で倒れてしまった。


■かいけつ!
「これで助かった」という方法は?
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お彼岸に、お墓参りへ行くため姉夫婦の家に帰る予定をキャンセルした。
そのことで姉に電話をしたとき、
「もう、疲れた。でも休日出勤しないと締切に間に合わない」と、
そのときの状態を正直に話した。
泣き出した私に「これはただごとではない」と
察した姉が翌日訪ねてきて
一緒に病院に行ってくれた。
会社にも一緒に行ってくれて
姉夫婦の家でしばらく休息することになった。
姉が来てくれなかったら、たぶん首を吊っていたと思う。

その後、状態が悪化したため、2か月入院した。
仕事はやめることにした。

病院では当初寝たきり状態だった。
だんだん良くなってくると、ほかの患者と話をするようになった。

恋人が目の前で集団リンチによって殺されたという少女など、
自分よりもっとずっと悲惨な体験をした人たちとふれあい、
自分はたいしたことないな、とも思えるようになった。、

病院は、患者同士が、お互いに癒し合うような空間だった。
退院し、姉夫婦のもとで暮らし、犬の散歩ができるほどに回復した。

その後、10年間あこがれた人と、4ヵ月ほどつきあったが、
「前の彼女が忘れられない」といって、別れを告げられた。
その失恋のショックで、また、死にたい気持ちになった。
どんどん鬱がひどくなって、バイトにも行けなくなった。
寝たきりの状態で、今の自分の苦しみを
姉の携帯にメールで送った。
ちょうど、お正月で病院も空いてないので
、 姉と義兄が緊急対応してくれる病院をいろいろなところに電話して
見つけだして、義兄がすぐに車で連れて行ってくれた。

姉と義兄の助けがなければ、今の自分はなかったと思う。、

その後、自分のホームページを通して知り合った今の夫と出会い、
結婚し、ともにスローライフを送っている。

夫も統合失調症を患っているが、
お互いに助け合って暮らしている。
うつ病についても理解があるので、助かっている。
鬱の症状がひどく、家事ができないときなど
、 夫が助けてくれたり、ヘルパーさんに助けてもらっている。

ヘルパーさんはとてもよくしてくれて、
人とのつながりの大切さを感じている。

その後も鬱の症状がひどいときには、
死にたくなることもあった。

そんなとき、
夫が「僕は絶対君のことを離さないから、一生一緒に生きていくんだ」 と言ってくれた。、


この力強いひと言を聞いて、
生きていこうと思った。
夫は心が広い人で、
この夫に巡り合えたことに感謝している。


■その後。
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3年前、自殺と鬱がテーマの短歌を書いて、
歌集を出版した(「人生につかれたことあります」)。

これは、うつ病の患者自身のつらさ、重さ、
苦しみがわかるような内容なので、
患者の家族や友人など、
まわりの人たちにぜひ読んでもらいたい。

これからは、第2歌集の出版に向けて、
創作活動をがんばっていきたい。


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