生きテク No.86

取立て先が自殺して自分もおかしくなった…しかし妻が
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■生きテク提供者
名前: なぎ
性別: 男性
職業: 正社員
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■最も自分に過酷だった状況
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19歳の頃、中古車販売の仕事をしていが、
当時、トヨタ等の大手のメーカーが
中古車市場に参入し始め、
この業界でずっと食べていくのは厳しいと感じ、転職を考えた。

そんな頃、知り合いの、
「稼げる仕事」という一言に動かされ、
十日で1割、よくいうところの『十一(といち)』の
やみ金に関わることになった。


もともと営業力があったため、
わざわざ『十一』で借りる必要の無い人に借りさせ、
いい気になっていた。

借り主の多くは中小企業の二代目だった。
自分のところに返済する為に他から借りる等の借金地獄に陥り、
そんな中、自殺者も何人か出てしまった。

ある時、借り主の一人が実の父親に殺害されたという情報が入り、
急いでその現場に向かうと、そこは正に地獄絵図だった。

辺りは血の海、父親は既に常軌を逸しており、
既に息絶えた息子の手首を切り落とし、
バケツに流れ出る血をなみなみと溜め、ボーっと眺めていた。

その光景を目の当たりにしてからしばらく、食事が喉を通らなかった

■どんなふうに苦しかったか?
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それからは自分自身が平常心を失ってしまったかもしれない。
借金をして苦しむ人達を放っておけず、
自分の金を貸し、足りなくなるとその為に借金をするようになった。

実は21歳の頃に今の妻と出逢い、
当時は結婚もし、子どもも生まれるという大事な時期であった。

それなのに金を人の為に使い、生活費が無くなるという有様。

更に現実から逃避する為に覚せい剤に手を出してしまい、
その後は博打、カジノ、女遊びと手を広げ、借金は膨らむ一方だった。

借金は1500万ほどになり、
とうとう会社の金に手をつけ当然クビになってしまった。
覚せい剤の影響で死神のような風体になっていたせいもあり、
それから就職しようにも何十社受けても落とされた。

まだ子供が幼かったにも関わらず、
妻に夜の仕事をさせる以外、手は無くなった。

しばらく自分が娘を見、妻には水商売で稼がせていた。
ようやくラブホテルの仕事に就くことができたが、
性懲りも無くまだ覚せい剤を絶てなかった為に
幻覚によるトラブルから支配人と大ゲンカをし、
彼を殴り、たった半年で辞める羽目になってしまった。

■かいけつ!
「これで助かった」という方法は?
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ぼろぼろになって思いついたのは、
大好きだった祖母の墓参り をすることだった。

それまでもことあるごと墓参をしていたが、
この時はつくづく自分が情けなく墓前で号泣し、
「ばあちゃん、助けてくれっ!!!」と必死で懇願してしまった。

それからほどなく新聞の折り込みチラシを見て、
今の勤め先の面接を受けた。

そこの社長は俺を見るなり、
自分と同じ匂いを感じたと後に言っていたが、
なにしろすんなり就職が決まった。

しかしもう一つの問題は解決出来ていなかった。
覚せい剤の呪縛。
それまでどれだけ妻に迷惑を、苦労を、かけてきただろうか?

妻は自身が親から虐待を受けて育っていたからか、
どんな逆境でも耐えて忍ぶ女だった。

こんな自分に、文句一つ言わず、ついて来てくれていた。

ある日妻が、言いたいことがある、
と真剣な表情で自分に対峙して来た。

何を切り出すのか一瞬不安が頭をよぎった。
しかし妻の口から出た言葉は、
「あなたを信じています。」の一言だった。
今でも、その時の光景を思い出すと目頭が熱くなる。

自分は妻のこの一言で立ち直った。
すっかり目が覚め、覚せい剤と縁を切る決意をした。

そう決断して間もなく売人が警察に捕まり、
欲しくても買えない状況となった。

そんな棚ぼたのような出来事の助けもあったが、
覚せい剤への依存を断ち切ることが出来た。

■その後。
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今は仕事と二人の娘(5歳と2歳)の子育てがなにより楽しい。
そして、これからの人生をかけ、
信じてついて来てくれた愛する妻をなんとしてでも
幸せにしたいと思っている。


ごめんな、ありがとう!これからも宜しく頼みますっ。


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