生きテク No.97

借金地獄の闇の中で握りしめた携帯電話、家族の想い。
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■生きテク提供者
名前: 名無しさん
性別: 男性
職業: 正社員
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■最も自分に過酷だった状況
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ある雑誌を知り合いの出版会社から刊行していたのですが、
突然、先方から一方的に
廃刊を宣告されてしまいました。

私は当時、その雑誌に愛読者が二万六千人いたこともあり、
自分自身が会社を立ち上げて運営しても
十分採算があうと判断しておりました。

しかし、実際に借金して会社を始めてみたところ、
年間契約は以前の読者のうち、
三千人に留まってしまったのです。

会社はたちまち経営危機に陥り、
私は大きな読み違いをしたことに気付きました。


■どんなふうに苦しかったか?
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それからはまるで絵に描いたような借金地獄に落ちていきました。

毎日ほとんど一日中、取り立ての電話が鳴り、
鬼のような形相で、やくざが家まで押し掛けてきて、
いつも自身への自責の念と、恐怖、
そして出口の見えない不安
が心に襲い掛かり、
苦しく辛い日々を過ごしておりました。

いままで持っていた誇りや自信はみるみる薄れ去り、
家では家内と些細なことでも諍いが始まり、
喧嘩が絶えることがありませんでした。

思えば、当時小学生だった娘にも
悲しい思いをさせてしまっていました。

そのような生活が四年も続き、私の心は荒むばかりでした。

そんなあるどしゃぶりの雨の日、
妻と大ゲンカをして家の外に飛び出した時の事です。

ふと自宅近くの多摩川を見降ろすと、
大雨による増水で、もの凄い勢いの濁流が目の前に広がっていました。

「今、この中に飛び込めば死ねる!」

そんな考えが頭の中ををよぎりました。

■かいけつ!
「これで助かった」という方法は?
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荒れた濁流のように混乱する思考の中、
ふと、外に飛び出す際、
無意識に持って出た携帯電話に気が付きました。

気になって携帯電話を開いてみると、
心配した妻と娘からの電話、
そしてメールの着信がたくさん
届いておりました。

はっと我れに返り、混乱した精神状態から覚めた時、
まず頭に浮かんだのは
保険に加入していないという現実的な状況でした。

自分が死んでも借金は残り、そしてそれは妻と娘にのしかかります。

そう思うと、とても身を投げるなんて出来ません!


私はこうして、自殺を思いとどまりました。

家に戻った私を迎えてくれたのは、
目を真っ赤に腫らし、大声で泣きながら、
「どんな状況になってもお父さんと一緒に生きたい」
と言ってくれる妻と娘の姿
でした。

こんな自分でも愛してくれている家族がいるんだ、
と思うやいなや、とうに失われていると思っていた
勇気
」が私の中にみるみる湧き上がってきました。

借金の苦しみは支払いに追われ、
今まで築いてきた物がどんどん消えて行きます。

お金もプライドも住まいも、生活の質も。
…無くす悔しさの中で最後の最後で大切なことに気づきました。

それは無くして行く物ではなく、
大切なのは残っているモノ。自分の命。
そして妻、娘がいる!


この借金苦が教えてくれた大切なことでした。
これだけ残っていればやり直せる!そう決意しました。

自分の腹は座りました。
それからは妻と共に、
なんとしてでも死にものぐるいで働き、借金を返しきろうと思いました。


■その後。
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家族一丸となって立ち向かった結果、借金を返しきりました。

今の自分は、生業(ジャーナリスト)の他に、
知的障害者の存在を
世間に正しく理解して貰う為の活動をしております。

そしてその活動を通し、生き甲斐とやりがいに燃え、
充実した毎日を送っています。

私はギリギリ極限まで追いつめられた後に
大きな喜びが待っている
ということを、
今、苦しみもがいている人に伝えたい!

その時こそ、器の大きな人間として生まれ変われり、
全く違う価値観を得るチャンスなのです。

それから「本当の生き方」が始まるのですから。


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