借金地獄の闇の中で握りしめた携帯電話、家族の想い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■生きテク提供者
名前: 名無しさん
性別: 男性
職業: 正社員
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■最も自分に過酷だった状況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある雑誌を知り合いの出版会社から刊行していたのですが、
突然、先方から一方的に
廃刊を宣告されてしまいました。
私は当時、その雑誌に愛読者が二万六千人いたこともあり、
自分自身が会社を立ち上げて運営しても
十分採算があうと判断しておりました。
しかし、実際に借金して会社を始めてみたところ、
年間契約は以前の読者のうち、
三千人に留まってしまったのです。
会社はたちまち経営危機に陥り、
私は大きな読み違いをしたことに気付きました。
■どんなふうに苦しかったか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからはまるで絵に描いたような借金地獄に落ちていきました。
毎日ほとんど一日中、取り立ての電話が鳴り、
鬼のような形相で、やくざが家まで押し掛けてきて、
いつも自身への自責の念と、恐怖、
そして出口の見えない不安が心に襲い掛かり、
苦しく辛い日々を過ごしておりました。
いままで持っていた誇りや自信はみるみる薄れ去り、
家では家内と些細なことでも諍いが始まり、
喧嘩が絶えることがありませんでした。
思えば、当時小学生だった娘にも
悲しい思いをさせてしまっていました。
そのような生活が四年も続き、私の心は荒むばかりでした。
そんなあるどしゃぶりの雨の日、
妻と大ゲンカをして家の外に飛び出した時の事です。
ふと自宅近くの多摩川を見降ろすと、
大雨による増水で、もの凄い勢いの濁流が目の前に広がっていました。
「今、この中に飛び込めば死ねる!」
そんな考えが頭の中ををよぎりました。
■かいけつ!
「これで助かった」という方法は?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
荒れた濁流のように混乱する思考の中、
ふと、外に飛び出す際、
無意識に持って出た携帯電話に気が付きました。
気になって携帯電話を開いてみると、
心配した妻と娘からの電話、
そしてメールの着信がたくさん届いておりました。
はっと我れに返り、混乱した精神状態から覚めた時、
まず頭に浮かんだのは
保険に加入していないという現実的な状況でした。
自分が死んでも借金は残り、そしてそれは妻と娘にのしかかります。
そう思うと、とても身を投げるなんて出来ません!
私はこうして、自殺を思いとどまりました。
家に戻った私を迎えてくれたのは、
目を真っ赤に腫らし、大声で泣きながら、
「どんな状況になってもお父さんと一緒に生きたい」
と言ってくれる妻と娘の姿でした。
こんな自分でも愛してくれている家族がいるんだ、
と思うやいなや、とうに失われていると思っていた
「勇気」が私の中にみるみる湧き上がってきました。
借金の苦しみは支払いに追われ、
今まで築いてきた物がどんどん消えて行きます。
お金もプライドも住まいも、生活の質も。
…無くす悔しさの中で最後の最後で大切なことに気づきました。
それは無くして行く物ではなく、
大切なのは残っているモノ。自分の命。
そして妻、娘がいる!
この借金苦が教えてくれた大切なことでした。
これだけ残っていればやり直せる!そう決意しました。
自分の腹は座りました。
それからは妻と共に、
なんとしてでも死にものぐるいで働き、借金を返しきろうと思いました。
■その後。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
家族一丸となって立ち向かった結果、
借金を返しきりました。
今の自分は、生業(ジャーナリスト)の他に、
知的障害者の存在を
世間に正しく理解して貰う為の活動をしております。
そしてその活動を通し、生き甲斐とやりがいに燃え、
充実した毎日を送っています。
私は
ギリギリ極限まで追いつめられた後に
大きな喜びが待っているということを、
今、苦しみもがいている人に伝えたい!
その時こそ、器の大きな人間として生まれ変われり、
全く違う価値観を得るチャンスなのです。
それから「本当の生き方」が始まるのですから。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<<戻る
トップへ戻る
(c)ポジメディア
powerd by Mobapro.Net