外資系の重い通訳業を続けてうつに・・・。しかし、読書が私を変えていった。
生きテク提供者
最も自分に過酷だった状況
外資系企業に就職し、社内政治がらみの通訳を担当していました。
外資系であるから幹部クラスは、ほぼ外国人。
社内組織を変更する際、人を左遷したり、首にしたりすることの通訳を行っていました。
しかし、そこでは驚くべきことに、
紙切れ同然に個人の人生が扱われていたのです。
個人の名前が書かれた付せんを各部署にペタペタと張り付けていき、
それぞれの人の所属が決まっていく。
すると最後には、行き場のなくなってしまった付せんの山が残ります。
この山が、会社から切り捨てられていく人たちでした。
自分は外国人上司の話す言葉を通訳するだけの立場であり、
意思決定を行うわけではなかったけれど、
首になる相手にとっては分かる言語が日本語だけであるから、
私の言葉によって相手が首になっていくようでした。
ハードワークによる過労や健康を害する人も後を絶たない会社でした。
そんな中で仕事をすればするほど、心も体も害していく。
そして、それは私も例外ではありませんでした・・・・。
ついには切り捨てられていく人たちを見ていると、
たまらなく虚しくなりました。
仕事をすればするほど、人が不幸になっていくことが辛かった。
そんな自分の仕事ってなんだろうと思うと悲しくて仕方なかった。
そして、気付いたらうつ状態になっていました。
決定的にそれが分かったのは通勤途中に突然、涙が止まらなくなったから。
心と体が限界に達していた。
もう仕事を続けていくのは無理だった。
ちょうど会社の契約が満了したのを機に退職。
それから1年くらい重いうつ状態に陥っていまし た。どんなふうに苦しかったか?
うつは、自分自身が分からなくなって身動きができないぐらい、
暗くて苦しい闇の中に落ち込んでしまうようでした。
体が重く、常に寝ていました。
朝起きるのは難しく、昼には起きようと日々思うのですが、
それもまた難しく、結局一日中寝ているという状況でした。
そんな自分が嫌でしかたなかったけれど、どうしようもありませんでした。
起きている時は、常に悲しみの中にいました。
これから、どうなってしまうのかと不安になったり、
どこでボタンを掛け違えてしまったのだろうと過去を悔んだり、
こんな状況になってはもう取り返しがもう付かないと、
自分自身の人生を恨み、初めから自分の人生は間違っていたんだとも思いました。
死んでしまいたいと常に思っていたが、
自殺を実行する気力すらありませんでした。
それは、幸いと呼ぶべきでしょうか・・・・。
風呂も入ることも、歯を磨く気力もない。
何もする気がせずに、常にどんよりしていたのです。かいけつ!「これで助かった」という方法は?
ある時鏡を見たら、お化けみたいな顔をした自分がいました。
客観的な自分の状況、「こんな風に人からは見えるんだ」と思って、
顔を洗ってみたら不思議と気分もすっきりしていました。
数日後、化粧もしてみると、
久々にまともな顔の自分が鏡の中にいました。
その顔を見て、
まだ、人生をやっていけるんだという希望が芽生えてきたのです。
それまで、自分の闇の中に閉じこもっていて
自分の可能性はすべてついえたものと思い込んでいました。
しかし、客観的に見てみれば、希望だって残っていることに気づくようになったのです。
そして、自分ができなかったことではなく、
できたことに気付くための日記を始めました。
のちに、その日の精神状態や、食べたものなど徐々に項目は増えていきました。
毎日が前進の連続ではないけれど、日記を書いて自分の状態を観察していくと、
少しずつ上向いていることが励みでした。
そして徐々に、本を読むようになりました。
きっかけはいろんな人の考え方を知ろうと思ったから。
本は、私の悲しみを忘れさせてくれる新たな気づきを与えてくれた。
本は私に心の栄養分を運んでくれたのだと思う。
本を読むごとに、それまで死んでしまっていた私の細胞は、
新たないのちを与えられ、再生していくような新鮮な感覚を味わった。
それが快感になり、実際に本屋に行くことは難しかったけれど、
本棚にたまっていた本たちや、ネットで見つけた新しい本たちを読みあさりました。
その時によって、
自分が必要としている本の栄養分が異なり、
自分自身がいろいろな成長の過程を経ていることがわかりました。
そうやって、本を読んでいくうちに、
自分が閉じこもっていた世界が開けていき広がっていきました。
そして最後には、読書によってうつから回復したのです。その後。苦境を乗り越えた今、これから何をしたい?
自分がうつの時に読んで、回復に役立った数々の珠玉の本たちを紹介する
「うつの世界にさよならする100冊の本」という本を出版しました。
今では、自分のうつ体験を踏まえた講演活動を行っています。
また、うつの症状と認知症の症状が似ていることを知って興味をもち、
認知症関連の書籍の翻訳や、その内容についての講演活動もするようになりました。
苦しみの体験は、確かにつらいものではあるけれど、
その体験からしか歩めない人生もあると思うから、
少しでも同じような苦しみを抱えている人々の助けになれる人生を歩めたらと思っ ています。
自分が体験するつらいことや不幸な出来事は、
良くも悪くも、起こるべくして起こってしまったもの。
でも、その出来事があるからこそ、膨らむ人生もあるのだと今では知っています。
だから自信を持って、
笑顔でこれからも生きていきたいです。WEBはこちらから➔「うつの世界にさよなら」
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