40代後半の頃、
私は建築業を
営んでいました。
家を建てる際に
工事関係者が立体的に動けるように
周りを鉄のパイプのようなもので覆う
足場というものを
組み立てる業者でした。
足場業は危険性も伴いますが、
収入もかなり高く、
安定した暮らしを
送ることができるし、
家が建つ時には必ず必要になるので
仕事にも困りませんでした。
仕事の関係者など
周りからの信頼も厚く
従業員も少ないながら
10人程度かかえ、
子供も3人できて、
新潟に別荘を買えるほど
順風満帆な人生を歩んでいました。
平日はもちろん
土日の休日も
朝だけは働いたり
現場を見に行くなどは
しなくてはいけないものの、
帰ってきた後に
大好きなお酒を飲みながら
ゆっくり過ごすのが
毎日の楽しみでした。
そんなある時
新型コロナウイルスが発生し、
経済の先行きの見通せなさからか
住宅の買い控えがおきました。
幸いにも貯金があったり
政府からの補助金などで
金銭的にはなんとかなっていました。
しかしながら、
全く仕事が入らないせいで、
毎日家にいる日々が続きました。
この仕事をしてから
25年以上も働いてしかいなかった為に、
特に友人などもおらず、
趣味もない為に
朝から晩まで酒を飲んで
気を紛らわしていました。
自分は今まで
とても仕事を頑張っていて、
自分のせいではない
コロナで家にいるだけなのに
邪魔者扱いされるし、
妻と娘がしているような
ドラマなどの話には
全くついていけなく
居場所がないと感じました。
その内に飲酒量も
多くなってしまい、
自分では気が付かないうちに
いわゆる重度のアルコール中毒に
なってしまっていました。
だんだんと、
記憶のない時間が増えていき、
記憶のないうちに
妻や子供に怒鳴ったりという事を
毎日してしまっていたようです。
朝起きた時に
すぐに酒を何杯も飲まないと
気分が悪くて
誰とも話せなかったりするほどでした。
孤立すれば孤立するほど
飲酒量は増えていき、
コロナがある程度落ち着いて
周りの建築業者さんが
動き出しても
仕事に行く気になれず
家にいて毎日朝から晩まで
酒を飲んで逃げてしまっていました。
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