私は小学校の頃から

重度の喘息を患っていました。

運動をすることはほとんど不可能で、

体育の授業はいつも見学。

遠足や運動会といった学校行事も、

全力で楽しむことはできませんでした。

発作のたびに周囲の目が気になり、

病院に連れて行かれることが多かったため、

「普通の子ども」として過ごすことが

できなかったのです。

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その結果、クラスメイトから

いじめを受けるようになりました。

私のことを

「病弱」だとか

「すぐ死にそう」と呼び、

アニメの中に出てくる

病気持ちのキャラクターの

名前をつけて嘲笑うのが

彼らの遊びになっていました。

私はそれが

どれだけ傷つくかを伝えられず、

ただひたすら黙って耐えていました。

「喘息を持っている」

という事実だけで、

自分が否定されているように

感じていました。

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中学生になると、

そのいじめはさらに

エスカレートしました。

同じ小学校から進学した同級生たちが、

私をいじめるグループをつくり、

新しいクラスメイトにも

その輪を広げていきました。

彼らは私の喘息の症状を

誇張して真似したり、

「また見学？病院にでも行けよ」

と冷たく言い放ったりしました。

運動会でリレーの選手に選ばれた友達を

応援することすら、

劣等感を刺激されて

つらい時間になりました。

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家では家族が

私を気遣ってくれていましたが、

その優しさが逆に

重荷に感じることもありました。

「自分は親にまで心配をかける存在なのだ」

と、無意識に自分を

責めてしまう日々が続きました。

「なぜ自分はこんな体に生まれてしまったのだろう」

「いっそのこと、いなくなったほうが楽になるのではないか」

という思いが、

心の奥底から

消えなくなっていました。

私が苦しかったのは、

自分がどう頑張っても変えられない

「喘息」

という体質が、

すべての問題の

原因だと感じていたことでした。

体育の授業や運動会のたびに、

自分の無力さが

目の前に突きつけられるようで、

ただその時間が早く終わることを

祈るしかありませんでした。

体を動かしたくても

発作が怖くてできない。

自分が人と違う存在だということを

思い知らされる瞬間は、

常に心に傷を残しました。

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いじめも私の心を深くえぐりました。

彼らは

「お前はスポーツどころか、

まともな学校生活も送れないんだ」

と言いたげな態度で接してきました。

アニメの病弱キャラクターに

たとえられた時には、

「自分は本当に何もできない存在なのだ」

と絶望感に包まれました。

それでも、

先生や親に相談することは

できませんでした。

心配をかけたくなかったし、

「こんなことくらいで弱音を吐いてはいけない」

と思い込んでいました。

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そんな中で唯一自信を持てたのが

勉強でした。

中学に進学してからは

成績が上がり、

クラスでも

トップを取ることが増えました。

しかし、

どれだけテストで良い成績を取っても、

体育の時間に運動できない自分に対する

劣等感は消えませんでした。

「勉強ができたところで、運動ができない自分は劣っている」

という思い込みが心に根付き、

コンプレックスから

抜け出すことができませんでした。

ある日、

何気なく見ていた動画サイトで、

あるボディービルダーが

「北斗の拳」のキャラクター

「トキ」に憧れて

ボディービルを始めたという

話をしていました。

その言葉が妙に引っかかり、

気になって「トキ」という

キャラクターについて調べました。

彼は病気を抱えながらも、

人々を救うために戦い、

優しくも強い存在として

描かれています。

そんな彼の姿に、

私は「自分もこうなりたい」と

初めて前向きな目標を

持つことができました。

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さらに、そのボディービルダーが

「病気や体質は関係ない。

自分のペースで鍛えることが大事」

と話しているのを聞き、

目から鱗が落ちたような気がしました。

ランニングや

激しい運動ができなくても、

筋トレなら自分でも

挑戦できるのではないかと思ったのです。

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まずは軽いダンベルを使って、

腕を動かすトレーニングから始めました。

最初は数分のトレーニングでも息切れし、

やめたくなる日もありましたが、

「少しずつでもいい」

という言葉を

信じて続けました。

続けていくうちに、

少しずつ筋肉がつき始め、

鏡に映る自分の姿が

以前とは変わっていることに気づきました。

その瞬間、

「自分にもできることがある」

と自信を持つきっかけとなりました。

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トキは、

「病気などを言い訳にして

弱いままで終わるのではなく、

自分の強さを見つけることが大切だ」

ということを教えてくれました。

病気を言い訳にせず、

自分ができることを見つけて行動することで、

心が軽くなることを実感しました。

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今では、

筋トレが私の

日課になっています。

ダンベルや

簡単な器具を使った

トレーニングを続ける中で、

体つきが少しずつ変わり始めました。

それまで「貧弱」と

馬鹿にされてきた自分が、

引き締まった筋肉を持つようになり、

以前より自信を持てるようになったのです。

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鏡を見るたびに、

「自分がここまで変われた」

と思えることが、

これまでの劣等感を

払拭してくれました。

周囲の評価に振り回されるのではなく、

自分自身が納得できる姿を目指して努力することが、

自信を育てることに繋がるのだと気づきました。

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今後は、自分の経験を活かして、

同じように苦しんでいる人たちに

「自分にできることを見つけてほしい」

と伝えたいです。

喘息という持病が

完全に治るわけではありませんが、

それを理由に何もできないと

諦める必要はないことを、

自分の生き方を通じて

示していきたいと思います。

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トキのように、

「病に蝕まれた状態でも

自分を曲げず強くありたい」

という姿勢を忘れず、

これからも筋トレを続けていきます。

そして、いつか

「あなたのおかげで自分も前向きになれた」

と言ってもらえるような存在に

なりたいと思って働いています。

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