母が精神を病んでおり、家事ができず、風呂にも入らず、近所に罵声を浴びせる状態だった。
私を含め、子供達は母を疎ましく思っており、ずっと母の子供である事を恨んでいた。
そんな家庭事情の中、18~19才ごろ、ひょんなことが重なり、私にアパレルチェーン店の店長代理という肩書きがついてしまった。
新人教育、売り上げ等、まだ未熟だった自分に全責任がかかってきた。
プレッシャーのあまり、休みの日も気になって店に顔を出す日が続き、ゆっくり休む事もできなかった。
精神的に不安定になり、うつに近い状態。
接客が嫌になり、酷い時には仕事を中心とした生活そのものに支障をきたした。
その店を辞めた。そして絵画を売る別の仕事に就いた。
会社が絵画販売の仕事をやめ、エステの仕事を始めると、今度はエステティシャンとしてスキルを磨くことになった。
そうして仕事に打ち込んでいるうち、母に対する思いに変化が生じてきた。
あれほど恨んでいた母に感謝ができるようになっていた。そして苦しかった気持ちがすごく楽になった。
仕事を変え、多くのお客様と接しているうちに、自分を見つめ直すようになり、家庭を客観視できるようになったのが主な理由。
また、一度精神的に追い込まれた事も、母の気持ちがわかる要因になったと思う。
自分を見つめなおした今、本当にやりたかった仕事はやはりアパレル系だと気付き、デパートの子供服売り場で働き始めた。
自分の考え方ひとつで、不幸と思っている出来事も幸福ととらえる事ができると、仕事や生活を通じて伝えていきたい。