学生時代、
私は
「普通の人生では満足できない」
と感じていました。
他の人と違うことをしたい、
誰かに自分を認めてもらいたい、
そんな漠然とした思いを抱えながら、
結局は周囲と同じように
就職を選びました。
毎日会社に通い、
特に変わり映えのしない日々を
送っていた頃、
ふとしたきっかけで
友人から
【起業】の話を
持ちかけられました。
友人の提案に、
「これだ」
と思いました。
自分の人生を変えるチャンスだと思い、
深く考えずに
その話に飛びつきました。
起業に向けて全力を注ぎ、
サラリーマン生活で貯めた
貯金と時間をすべて投入しました。
それまでの安定を手放し、
全力で挑むことに
不安はありましたが、
「ここで成功すれば、自分の存在価値が証明される」
と信じていました。
しかし、
現実は甘くありませんでした。
起業後の生活は、
周囲の友人たちが
休日を楽しみ、
家族との時間を過ごしている中で、
私は常に仕事に追われていました。
どんどん減っていく資金、
完成が見えない製品開発、
不確かな将来に対する不安。
毎晩、
出口のないトンネルを
進んでいるような気持ちで
眠れませんでした。
日々の不安と孤独が積み重なり、
「自分の努力は一体何のためなのか」
と考えるようになりました。
やっとの思いで
大企業から投資を受け、
製品を完成させた時には、
全身が疲れ果てていました。
しかしその後、
私たちが開発した製品と
全く同じものを
その大企業が低価格で
販売し始めたのです。
法律の知識もない私たちは、
それを防ぐ術を持ち合わせておらず、
最終的に二束三文で
会社や技術を
売るしかありませんでした。
何年もかけて作り上げたものが、
あっという間に奪われた感覚でした。