当時大学入学のため、コンビニも車で20分以上かかるような
田舎から上京してきた私は、
新しい生活への期待と不安でいっぱいでした。
家族から離れて一人暮らしを始めるということ自体も、
初めての挑戦でした。
さらに、大学では新しい友人や恋人と出会い、
自分の世界が広がることを楽しみにしていました。
しかし、そんな思いとは裏腹に、
新型コロナウイルスの感染拡大により、
すべての授業がオンラインに切り替えられ、
大学のキャンパスにも行けなくなりました。
授業は自宅の一室で受けることになり、
自然に会話が生まれるような場もありません。
新しい友達もできず、
ただパソコンの画面越しに
講義を受けるだけの毎日が続きました。
私が夢見ていた大学生活は遠い存在となり、
孤独と無力感が少しずつ積もっていきました。
誰とも顔を合わせずに過ごす日々が、
思っていた以上に心に重くのしかかり、
気がつけば自分がまるで
「孤島」にいるような
気持ちになっていました。
そんな中、
「誰かとつながりたい」
「心の支えがほしい」
と思う気持ちが強くなり、
マッチングアプリを
試してみようという考えに至りました。
メッセージのやり取りだけであれば
リスクも少ないし、
同じように孤独を感じている人が
見つかるかもしれない。
軽い気持ちで始めたのですが、
相手と話すたびに
少しずつ孤独感が
薄れていく気がしていました。
そして、何度か会話を重ねる中で、
特に気の合う一人の男性と
深く話すようになりました。
彼も上京してきたばかりで、
コロナ禍で同じような孤独を
感じていると言っていました。
共通の話題があり、
趣味も合う彼と話す時間が、
私にとって
大きな支えになっていきました。
気づけば彼への信頼が深まり、
毎日のように学校終わりに会いに行き、
自分のことを話せる
唯一の相手となっていたのです。
しかしある日、
お互いにアプリを消していたはずが
彼がアプリを続け、
私以外にも複数の女性と
関わりを持っていることが分かりました。
それまで信じていたものが一瞬で崩れ去り、
自分の存在が否定されたかのように感じました。
この裏切りをきっかけに、
私の中で
「誰も信じられない」
という思いが膨らみ、
「生きている意味があるのだろうか」
という疑問にまでつながりました。
心の中の支えが失われた喪失感と、
再び人と関わることが怖くなった自分。
元々家族の反対を無理やり押し切って上京したのもあり、
周囲に相談できる人もおらず、
孤独と絶望の中で一人悩み続けました。