私は幼い頃から、
貧しさが当たり前の家庭で育ちました。
母はいつも明るく
元気に見えていましたが、
実は精神的な病を抱えていたようで、
ある日、私と姉を
小学校へ送り迎えする途中に
発作を起こし、
交通事故を起こして
亡くなりました。
幸いにも
私たち姉妹に
命の別状はありませんでしたが、
その瞬間の記憶は
ほとんど残っていません。
ただ、母が突然いなくなったことで、
私たちの生活が
一変したことだけは
はっきりと覚えています。
父は母を失った悲しみを抱えながらも、
私たちを養うために
朝から晩まで働き続けました。
しかし、母が起こした
事故の賠償金が重くのしかかり、
生活は困窮を極めました。
毎日の食事にも困り、
服は何年も
同じものを着続けました。
そんな私を見かねて、
友達が
「可愛いんだから服もちゃんとしなよ」
と言って洋服をくれたことが、
当時の私にとって
唯一の救いでした。
修学旅行に行くお金もなく、
仮病を使って休みました。
ずっと楽しみにしていたイベントだったのに、
父に「行きたい」
と言えるはずもなく、
友達が楽しんでいるSNSの投稿を見ながら、
私は家で一人泣きました。
この時から、
「自分の欲しいものを求めても無駄だ」
と思うようになり、
感情を抑えることに
慣れていきました。
そんな日々の中で、
一番の支えだったのは
姉でした。
姉はとても優しく、
勉強もスポーツもでき、
周囲からの信頼も厚い
自慢の姉でした。
家のために県内一の高校に進学し、
大学も
特待生として進学する道を選びました。
姉は全国でも
トップクラスの大学に
行ける実力があったのに、
家計のことを考え、
学費がほとんどかからない道を
選んでいました。
それを知った時、
私は
「姉と父はこんなに頑張っているのに、自分は何の役にも立てていない」
と強く思うようになりました。
「私がいなくなれば、父も姉ももっと楽になれるのではないか」
「母が事故で亡くなった時に、私も一緒に死んでいればよかった」
そう思うようになり、
次第に自分の存在が
家族にとって
負担でしかないと
感じるようになりました。
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