15歳の時、前の日まで普通に仕事をしていた父が翌朝布団の中で息絶えていた。脳出血という診断だった。
高校に上がったばかりの生意気な年頃の私は、父にかなり反発していた。
実は亡くなる一週間前から口をきいていなかった。
父は毎日日記を書く習慣が身についていたのだが、その日記が、私ともめたその日で途切れていた。
ショックだった。
父を死に至らせたのは自分の未熟さではないかと思い詰めた。
突然の死、しかも私が原因かもしれない。父との別れを認めたくない、受け入れたくない自分がいた。
私は父が大好きだったのに、どうしてあの時、あんな態度をとったのか後悔し、自分を責めた。
父のいない毎日が始まった。私はしばらくの間、現実にいながら死んだような日々を送っていたように思う。
そんなある日、小、中、高とずっと同じ学校に通う友人からラグビー部のマネージャーになってほしいとの依頼を受けた。
ラグビーのルールも良く知らないのに、受けるか否か迷った結果、前に進むことにした。
ラグビー部の先輩達が大人でとても優しくしてくれるので、自分の居場所をみつけた思いがした。
弱いチームであったが、 試合の遠征や合宿と忙しい日々を送るうち、生きている感じが実感として出て来た。
人は人によって生かされているという感覚。
今も私は人によって生かされている。
仕事を通じて「ありがとう」を沢山いただいている。毎日が楽しく、充実している。
父との別れの後、人との関わり方の大切さを学んだように思う。