専門学生だった18才の頃、交通事故に遭った。夜中の3時頃、友人4人と酒を飲んで、車に乗っていて運転手以外は眠ってしまい、事故にあった直後は救急車のサイレン音だけが聞こえていた。
意識が戻ったときには、すでに救急車の中にいた。
助手席の後部に乗っていた自分は、顔半分を複雑骨折。眼球を支えられないほどの重傷だった。
同乗していた友人達は、運転手が足を骨折し、他の2人も唇やおでこを切るだけの軽傷で済んでいた。
入院先の病室は4人部屋だったが、自分自身のことで精一杯で同室の人を気遣う余裕など、全く持てなかった。
顔の傷は、半分以上に膨れ上がり、見舞いに来てくれたクラスメートのなかには、一目みて走り去ってしまう子もいるほど。
2度目の見舞いに来てくれるクラスメートは、ほぼいなかった。
1ヶ月の入院中に、1度目の手術をしたが、顔は元には戻らなかった。
退院してから2回目の手術を受けるまで、1年間必要だったため、普通に学校へ行くのも辛い日々が続いた。
事故に遭う前は、外見はもてるほうだったので、そのギャップにも苦しんだ。
鏡やショーウィンドウに写る度に「俺の顔、変じゃない?」としつこく聞くのが当時の口癖で、どんなことにもマイナスのイメージしか持てなかった。
そんな日々のなかで読んだ、ある1冊の本が自分を変えるきっかけに。ビートたけしが、交通事故後に出版した「顔面麻痺」という本だった。「俺も辛いが、顔が変わってもメディアに露出しなければならないビートたけしのほうが、もっと辛いはずだ!」そんな考え方がマイナス思考だった自分の気持ちを変えるきっかけになった。また入院中、両親以外に、唯一、毎日お見舞いに来てくれたクラスメートの女の子がいて、顔の傷のことを気にせずに交際してくれるように。とても、心の支えになってくれた。
卒業後、念願のアパレル会社に就職し、一生懸命に働いている。
顔も、手術のおかげでだんだんと戻ってきた。
事故後を支えてくれた女性とは、その後結婚し、子供にも1人恵まれた。
妻に対しては「ありがとう」という気持ちでいっぱい!
一生、支えて生きて行こうと思っている。
そして、今思う事。どんなに辛くても悩んでいる時間はもったいない!一歩前に踏み出せば、何かが必ず変わる。まずは、現状を変えてみよう!
これからは、人の役に立つような生き方がしたいと思っている。