私には、励ましてくれる家族、友人、障害児のお母さん方がいました。
人生の師匠と呼ぶべき方がおっしゃった
「絶望は希望に、不可能は可能にできる」という言葉に勇気づけられました。
また、市内の「ゆりかご園」という
リハビリセンターのS先生は「必ず成長していく」と仰ってくださいました。
「心友」のまきりんは、辛い時にはいつも励ましてくれ、
うれしい時は自分事のように喜んでくれました。
彼女は今でも、心からの友達です。
そういった方々との出逢いのおかげで、
リハビリや日々の努力を諦めずに続けることができたのです。
そして、奇跡を起こしました。
2歳になった頃、首が座り、斜視までも治っていったのです。
身体がぐにゃぐにゃしていたため、お座りも無理だといわれていましたが、
3歳前には、自分の手で身体を支えて座ろうとする姿が見れるようになりました。
また、食べるという普通の行為がみのりにとっては危険を伴うため、
毎回の食事は戦いでしたが、日々の努力が実り、
4歳になる頃には刻んだものを食べられるようになりました。
自分で食べる練習も進みました。
「奇跡は起きるものではなく、起こすものだ!」と思いました。
子供は子供同士で育つ面がたくさんあると思い、保育所に入所を申し込みましたが、
重度障害児であるため、選考から外されました。
納得がいかず、
リハビリセンターの先生方やお母さん方も応援してくださったおかげで、
市の保育課と何度も話し合い、
市内で初めて、重度障害児の入所を受け入れていただくことができました。
保育所では、お友達が助けてくれたり、先生方も色々と工夫してくださり、
お友達と一緒に遊んだり、行事に参加することができました。
みのりもいつも笑顔で、
諦めずに保育所に入れてあげることができて本当によかったと感無量でした。
年長組に進級するにあたり、新たな挑戦をしました。
当時はまだ、つかまり立ちがやっとできるようになった状態だったのですが、
少しずつ階段の上り下りに挑戦していったのです。
家でも続け、小学校に入ってからも続けました。
小学校の間に、歩けるようになってほしい。
ランドセルを背負って歩く姿を見ることが、私の大きな夢でした。
みのりは現在11歳。6年生になりましたが、
ちょうど1年前から歩けるようになりました。
歩き始めた日、みのりが恐る恐る、でも必死に、
自分の足で大地を踏みしめ、1歩1歩歩いてくるのです。
あのときの光景は一生忘れることのできない
「我が子の勝利」の姿でした。
この10年のことが走馬灯のようによみがえり、
その場に泣き崩れてしまいました。
先生方もお母さん方も、一緒に泣いてくれました。
お友達も拍手をして喜んでくれました。
みのりは、厳しいリハビリで大泣きしながらも頑張り続け、
今では1人で階段の上り下りができるようになりました。
素直な心で頑張り続けることで、
「不可能を可能に」「絶望を希望に」変えることができると
みのりは教えてくれました。