今から4年前、人生に疲れていた。
自分は18才の時に母親がうつ病で自殺していた。
その時の心のダメージはあまりにも深く、ずっと尾を引いていた。
父親はアルコールに依存していた。20歳になり、就職の話で父とケンカした。
音楽関係の仲間との付き合いも、良くない関係だった。
自暴自棄になり地下鉄に乗った。
…そして死のうと思い、海へ。
母親がいない現状。
髪を金パツに染めていたが、父親からは大反対。
自分はアル中の父親を、親として、人間として、どうしても尊敬できなかった。
「人生に疲れた」そうして自分は桟橋から飛び込もうと地下鉄に乗ったのだった。
だが、桟橋から飛び込もうとした時、野球少年の姿が目に映った。子供に見られる事の体裁の悪さを感じた。それと、東京湾の汚い海の色がとても嫌いだった。
飛び込む気持ちは消えた。
自分はとても汚い場所にいる。…ふと、温泉に入りたいと思った。
温泉に入りたい一心で、箱根に向かった。
箱根では、箱根駅伝の真っ最中で、参加する選手たちが大勢いた。
その生き生きとした選手たちを見ているうちに、前向きに生きたい、と感じる自分がいた。
母の死を受け入れるまで6年かかった。
今は音楽関係の悪い付き合いも切れ、出会う人が変わった。
3年くらいフリーターをしながら自分を見つめた。
今は保険会社に就職し「生きるための保険」をお客様に提供している。